偶然の産物ではあるが、「アリスに始まりビレッジ・ピープルに終わる」テープの構成は、「出勤」という気の重いイベントに参加する一出演者の精神を、じつにうまく操縦する結果となったのだ。
朝に音楽を聞くという行為は、自分自身によるマインド・コントロールなのだ、とそのとき察した。
そこで考えてみると、似たようなことは、すべてのセレモニーで行われていることに気づいた。
テレビのスポーツ中継のオープニングには明るく元気のよいテーマ曲が流れる。
それを耳にしただけで見たくなり、やがて始まる試合への期待と興奮でワクワクと胸が昂っていく。
披露宴での新郎新婦入場のさいに必ずかかる『結婚行進曲』も同じだ。
加藤大升